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「虚しく往きて実ちて帰る」

弘法大師空海は804年遣唐船により、唐に渡り長安の青竜寺恵果阿闍梨に面会し、
インドからチベットを経て中国に伝わって来た真言密教の奥義を伝授され日本に持ち帰りました。
飛行機やテレビなど交通や通信の発達した現在では簡単にチベットや中国を訪れ、
あるいは直接ダライラマ等に接する事ができるため、
密教の聖典についてはすべてが学者や僧侶によって解き明かされ、
私たちが簡単に接する事ができます。
それだけに、当時の空海の感動と私たちが経典の教えに接する感動では、
想像を絶する程の違いがあると思います。

「初めて会ったときのときめき」

「初めて知った時のよろこび」

「初めてみたときの感動」

情報社会の中に生きる私たちが一番大切にしたいところです。
人生の苦悩がある出会いによってものの見事に解き明かされる事があるものです。
そんな気持ちを空海はこの一句に現したのです。

「虚しく往きて実ちて帰る」

というフレーズは私のこころの中でもいつも新鮮な出会いの感動を与えてくれます。


南無大師遍照金剛

1999年8月21日 高野山真言宗 権教師 岩本欣善