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「緑の力は偉大なもの」
―自分の道がわからなくなった方々へ―

法話ももう第6話となりました。
さまざまなご相談を受けて、わたくし自身も成長させていただいた事に
感謝しております。
合掌

さて、リストラ等で会社を辞めたり、これからどういう職についていいかわからない、
今の会社を辞めたいといったご相談をよくお受け致します。
あるいは、今の彼氏や配偶者との相性に疑問をいだかれている方からも
ご相談をたくさんお受け致しております。

今回は「縁の力」という事について考えてみましょう。

お大師さんは
「人は縁に会えば大きな力を発揮する」
とおっしゃり、人間社会はすべて人と人との関係の働きによって成り立って
いることを悟られました。その最も根元にあるのはやはり親子、そして夫婦
なのでしょうが、それ以外にも兄弟、親戚、師弟、上司と部下、先輩後輩、
売り手と買い手、友人等々との関係において私たちは悩みもし、幸福にもなり、
日々を暮らしております。

わたしが申し上げたい事は、縁は選ぶものではなく、選ばれ与えられるものだ
ということと、縁を生かすも殺すも自分自身の心のあり方にあるということです。
というのは、自分が自由に良い縁だけを選り好みするという事はこの世では
不可能だからです。だからひとつの縁の中にある良き芽、悪しき芽を見抜く「眼」は
ぜひ身につけるべきです。

そしてどんな縁であっても、そこに仏の心が宿っていることに気づく力を皆様
にぜひ体得していただきたいと願う次第です。仏縁を感じる力を...。

さらにお大師さんは
「一木を食べて一生を終わる虫ほど幸福な生き方はない」
とおっしゃりました。つまりひとつの人生の味しか知らずに一生を貫き通すこと
の幸福をおっしゃっているのです。縁とはそういうものです。そこに自分のすべてが
順応する力の大切さを大事にするのです。自分の感じ方次第で幸福がやってくるの
です。極端な例を申しますと「エレファントマン」とか「JOEY」、最近では
「サイモンバーチ」の生き方ですら、そこに幸福が存在するのです。

仏様は縁に関してはすべての魂に平等であるという信念を持つべきです。
「自分だけが損をしている」と思う方はぜひ上の映画を観てくださいませ。

ちょっときつい言い方を致しましたが、もし、今の自分の情況に疲れている方が
いらっしゃるのならば、旅に出てみてください。そして、自分の縁というものを見つめ
直してみることです。わたくしは特に四国霊場巡りをお勧め致します。「御両親や伴侶に
感謝し、人様に感謝できる謙虚で幸福な自分」を取り戻して頂きたいからです。

「人は生きている限り必ず仏心をどこかに持っている」
これがわたしが皆様にお送りする信念でございます。
今ある縁を生かしきることです。
今ある縁の延長にこそ新しい縁が生まれるからです。

南無大師遍照金剛

合掌


2000年9月21日 高野山真言宗 権教師 岩本欣善